日比谷シャンテ広場

−都心のオアシス−


この建物のかたちをご覧になった方は、フリーハンドで生み出された造形だと思われるであろう。実際には設計が依頼されたときには地下駐車場からの車出入り口の車路、総合設計によるセットバックライン、地下部分の給排気口等の様々な要素により、がんじがらめの設計条件が科せられていた。そして、その全ての条件をクリアしつつ、既に設計が完了していた後背の高層建物との対話により広場の空間を引き締める形態が生み出されたものである。

設計が依頼されたときには、複数街区にまたがる公開空地の設置の代償として、広場の中心に地下駐車場からの車出入り口が無骨にさらけ出されており、「修景造園」的な植栽によりそれを「隠す」ことが提案されていた。発想を転換して、要素を都市の舞台の主役として「見せる」ことで、周辺のビル群のスケールと対峙する存在感をねらった。

宅地、道路との境界を越えたグラフィック的な路面パターンの提案がポイントであったが、ほぼ提案どおりに実現したのは奇跡的であった。道路管理者としては初めての試みで、今回限りであろうというコメント付きの承認であった。駐車場のスロープのかたちを生かして、カスケードが設置されたが、水深の浅い水面がきれいに見えるように、素材としては黒みかげ石が選択された。